収入が少なくて申請が通るか不安

1 収入は永住権の要件の一つ

 取得すると様々なメリットがあるため、多くの外国人が望む永住権ですが、永住権の許可にあたっては、収入が審査項目の一つとされています。

 本記事では、永住権の取得要件一般について解説した後、収入が少ない場合でも永住権を取得できるのか、目安としてどの程度の収入が必要とされているのかなどについて解説したいと思います。

2 永住権の取得要件

 永住権を取得するためには、基本的には以下の要件を満たす必要があります。

 ⑴ 素行善良要件(法律を遵守し、犯罪歴がないこと)

 ⑵ 独立生計要件(安定した収入があり、生活できること)

 ⑶ 国益適合要件

  ア 居住要件(一定期間、日本に継続して在留していること)

  イ 法令遵守(税金・社会保険料の納付、入管法上の手続きの適正な履践)

  ウ 最長の在留資格(3年以上)

  エ 公衆衛生上の観点

3 独立生計要件の解説

 ⑴ 独立生計要件の考え方

 独立生計要件について、永住許可に関するガイドラインでは、「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」と定められています。

 つまり、日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれることが求められています。

 実務では、独立生計要件を満たすためには、現在だけでなく、将来にわたって自立した生活を維持することができるかどうか(それだけの収入があるか)という点が重視されます。

 ⑵ 申請者以外の収入を考慮することができるか

 将来にわたって自立して生活をすることができるだけの収入は、申請者個人単位ではなく生計を同じくする世帯単位で判断されるため、申請者の他に就労資格などで収入がある者(生計維持者)が世帯内にいれば独立生計要件としては有利に働くでしょう。

 ⑶ 具体的な年収はいくら程度が必要になるか

 明確な基準があるわけではないですが、おおむね300万円の収入があることが、独立生計要件が認められるための目安と考えられています。

 この目安は、あくまで単身を前提としており、扶養家族が増える場合には、扶養家族一人につき年間で70~80万円の加算がなされると考えておくとよいでしょう。

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